日本政府、首都圏を対象に1月7日付で緊急事態宣言を発出

Japan declared a state of emergency for the Tokyo

新型コロナウイルスの感染者数増加を抑制するための強力な措置に対して慎重な姿勢を見せてきた菅義偉首相ですが、今週になり政府に新たな緊急事態宣言に向けて準備をするよう指示し、1月7日に公式に発表されました。

12月31日に東京で1,377人の感染が確認されるなど、首都圏で1日の感染者数が過去最高を更新したことを受け、小池百合子知事(東京)、森田健作知事(千葉)、大野元裕知事(埼玉)、黒岩祐治知事(神奈川)の4都県知事が1月2日、西村康稔経済再生・新型コロナウイルス感染症対策担当相と会談し、政府に緊急事態宣言発出について再度要請を行いました。

さらに、埼玉、千葉、神奈川の3県は1月5日から7日の二日間にかけて過去最高の感染者数を記録し、東京では1月7日に初めて1日の新規感染者数が2,400人を超える事態となっていました。

昨年9月の就任以来、菅首相は感染症対策と社会経済活動の再始動のバランスに焦点を当て主要政策を打ち立ててきました。Go toキャンペーンやGo to Eatキャンペーンでは経済活性化を前面に打ち出し、政府の補助金を通して国内の観光や飲食業界に積極的に働きかけてきました。一方、感染者数は増加の一途を辿っていましたが、それでも雇用や消費にさらなる影響を与える可能性のある対策に関しては一貫して消極的でした。

そんな中、昨年12月のGo Toキャンペーンの縮小・一時中止の決定は首相とって後退と捉えられる出来事でした。中にはGo To キャンペーン利用者は通常と比べて2倍程度感染しやすいという調査結果も存在し、これまでもGo To キャンペーンの実施に固執する政府に対し、医療関係者や研究者たちは異議を唱えてきました。しかしながら政府見解としては当該キャンペーンに関連した感染者は少なく、およそ350人程度であると発表されています。

それでも患者数の増加や小池知事をはじめとする他の知事たちによる対策強化の要請もあり、政府は非常事態宣言の発出をせざるを得ない状況にありました。しかし、適用範囲を首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)に限定し、飲食店や映画館、デパートなどリスクが高いと思われる場所を中心に規制をかけることで、政府は経済への影響を最小限に留めようとする構えです。規制は本日(1月7日)午前0時から2月7日まで実施されます。政府は都道府県に対し、飲食店は午後8時を超えて営業しないよう指導するよう指示し、企業にリモートワークへの再移行を促進するとしています。少なくとも70%のスタッフが在宅勤務となることを目標とし、働きかける予定です。イベントの開催は、会場の収容人数を本来の50%に制限し、最大収容人数は5,000人までとしています。新たな規制を遵守する企業への補助金の増額等の議論は行われているものの、政府が直接企業の運営にか隠喩するような仕組みは未だ想定されていません。

今回の宣言による日常業務への直接的な影響は非常に限定的であると予測されていますが、同時にその効果については疑問が残るものとなっています。政府の期待は感染が最も急速に広がっている層における感染を鎮静化させ、それによってワクチンが普及するまでの日本の医療現場、そして菅政権に対する負担と不満を抑えることにあると見られています。